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スーパートレンド指標の見方:ATR追跡線の仕組みと弱点

スーパートレンドはATRの倍数だけ離れた追跡線1本で方向を示します。線が動くルールと弱点を見ます。

📚 チャート分析をはじめから正しく · 17/33· ⏱ 読了目安 3分 ·情報更新 2026-09-23

📋 基本情報

計算
(高値+安値)/2 ± 倍数 × ATR、初期設定はATR 10・倍数3
ルール
上昇中、下の線は上がるだけで下がらない
転換
終値が線を越えて引けると方向が変わる
弱点
レンジ相場では転換が多く、損失が積み重なりやすい

スーパートレンドが描くもの

スーパートレンドは、価格の下か上に線を1本引き、今が上昇側か下落側かを示す指標です。上昇と判定されている間は線が価格の下からついて上がり、下落と判定されている間は価格の上からついて下がります。線と価格の距離はATR(平均真の値幅)で決まるので、揺れの大きい銘柄ほど線が遠くに離れます。ATRそのものは「ATRでボラティリティを測る方法」の記事で扱いました。

計算:中間価格 ± 倍数 × ATR

足ごとに、まず候補の線を2本作ります。上のバンドは(高値+安値)/2 + 倍数 × ATR、下のバンドは(高値+安値)/2 − 倍数 × ATR です。TradingViewの内蔵スーパートレンドの初期設定はATR 10本・倍数3で、このサイトのスーパートレンド・スキャナーとバックテスターも同じ値を初期設定にしています。ATRはワイルダー方式の平均なので、計算を始めた位置によって最初の数十本の値が少し違うことがあります。上昇中は下のバンドが、下落中は上のバンドが、画面に表示されるスーパートレンドの線になります。

線が一方向にしか動かないルール

スーパートレンドの肝は、線が後ろに下がらないという点です。上昇中は、新しく計算した下のバンドが直前の値より高いときだけ線を引き上げ、低ければ直前の値をそのまま残します。そのため価格が一服したり押し目をつけたりしている間、線は図のように平らにとどまり、価格が再び上がるとついて上がります。一方向にしか回らない歯車にたとえて、ラチェットとも呼ばれます。下落中は逆に、上のバンドが下がるだけです。線が後ろに下がるのは、終値が線を越えて方向が変わるときだけです。

下がらない下落転換
例: スーパートレンド(ATR 10、倍数3)。上昇している間、下の線は押し目でも下がらずに平らに踏みとどまり、終値がその線の下で引けた足で下落に転換して、線が価格の上に移ります。

転換:終値が線を越えたとき

上昇中に終値が下の線の下で引ければ下落に、下落中に終値が上の線の上で引ければ上昇に、方向が変わります。基準は終値なので、足の途中でヒゲが線を越えて戻ってきたものは転換ではありません。進行中の足が線を越えている状態は確定前に消えることがあるため、スーパートレンド・スキャナーはこれを「転換待ち」として別に表示します。転換が起きると線は反対側のバンドへ飛び移るので、チャート上では線が価格の下から上へ、または上から下へ移ります。

トレーリングストップとして使う考え方

線が価格についてきて後ろに下がらないので、この線をトレーリングストップ(追いかける損切り線)として使う方法がよくあります。上昇中なら、終値が線の下で引けたときにポジションを手仕舞うというルールになり、線までの距離がその時点の損切り幅です。このとき知っておきたい点が2つあります。転換は終値で確認されるので、実際に手仕舞う価格は線より低いことが多いです。図の転換の足も、線より1.7%ほど下で引けました。また倍数3なら、線はふつう価格からATRの3倍近く離れているので、損切り幅は思ったより広くなります。レバレッジを使うなら、先物の清算価格計算機で、その損切り線が清算価格より先に届くかどうかを確かめられます。

レンジ相場で反転を繰り返す理由

トレンドのないボックス圏では、価格が上下の端を行き来するたびに線をまたぎます。上がりきったあとでようやく上昇転換が確定し、下がりきったあとでようやく下落転換が確定するので、転換にそのまま従うと、ボックスの上のほうで買って下のほうで売ることが繰り返されます。図の転換の足の終値で従っていたなら、上昇転換で買った4回とも、次の下落転換でより安い値段で売ることになります。こうした頻繁なダマシはウィップソーと呼ばれ、トレンドを追う指標に共通する弱点です。

例: 同じ設定(ATR 10、倍数3)をボックス圏に使った場合。点は方向が変わった足の終値で、上のほうで上昇転換し、下のほうで下落転換することが繰り返されます。

倍数を変えると変わること

倍数を大きくすると線が価格からさらに離れ、少々の揺れでは越えなくなるので、転換が減ります。同じボックス圏に倍数5を使うと、転換は9回から5回に減りました。その代わり転換が出るタイミングが遅れ、転換するときの線と価格の距離が遠いため、転換のたびに失う値幅が大きくなります。倍数を小さくするとその逆です。ATRの期間も影響し、短いほど直近の変動に敏感になります。どの設定が優れているという正解はなく、銘柄・足の長さ・時期ごとに結果が違うので、バックテスターで同じ条件のまま設定だけを変えて比べてみることができます。

例: 上と同じ足で倍数だけを5に大きくした場合。線が価格から離れて転換は9回から5回に減りましたが、転換が出る足はより遅くなりました。

スーパートレンドが語らないこと

スーパートレンドの方向は、「価格が直近の揺れの何倍以上、逆に動いたか」を1本の線に要約したものです。トレンドが続くかどうか、転換のあとどこまで行くかは教えてくれません。長いトレンドを1つ通り過ぎてから振り返ると成績がよく見えがちですが、その間のボックス圏で積み重なった小さな損失まで一緒に見て、はじめて全体像がわかります。転換後の成績はこの記事では測っておらず、銘柄や足の長さによって大きく違う可能性があります。線1本で方向を単純に示してくれることが、スーパートレンドの長所であり限界でもあります。

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